戯れる人

 




いきなり部屋に入ってきて。
臆面もなく「下から突き上げて欲しい」なんて。
「あ・・・は、っ・・・はぁ・・・」

特にテストが終わった日など、世宇はとてつもなく淫らになる。
俺を押し倒して、その上に乗り上げたと思ったら、官能の限りを尽くして俺を育て上げ、自分から早々に迎え入れた。
今は俺の腹筋の辺りに手を置いて、娟々不乱に腰を動かしている。
最近では、こちらのイイところを知り尽くしたかのような動きをすることもあって。
恋人がエロいことはありがたいことだけど。
何だか複雑な気持ちになってしまうことも事実だ。

「はぁ、っ・・・きい、ち・・・イイ・・・」

だらしなく口を開けて、世宇が喘ぐ。
要求どおりにまた突き上げてやると、あ・・・、と空気に溶けるように切ない声をあげる。
まだ陽も高く明るい時間。
窓から差し込む陽の光が世宇の裸体を曝す。
全身が汗で光って、正直たまらない光景だ。
視覚刺激だけで十分イケる。
でも、俺とまともに目も合わせず、黙々とセックスに集中する世宇を見ていると、己を満たしてくれるモノさえ付いていれば、相手は誰でも良いのではないかと、時々思ってしまう。
そう思うと、なぜか虚しくて、更に攻め立てたくなる。
寝そべったまま、手を伸ばして、胸の突起を弾く。
「あ、っ・・・」
世宇の腰の動きが止まったところを狙って、再度下から突き上げる。
そのまま、がんがんに激しく腰を遣ってやると、世宇は早々と陥落した。
「あぁぁ、きいち・・・っ」
世宇が快感に顔を歪め、艶やかな声で自分の名を呼ぶ瞬間を見てはじめて、希一の猛りは少しだけやわらぐのだった。

一戦を終えて、心地良い疲労感に埋没しながら、希一は世宇に向かって言った。
「お前はホント、エロいな。喰ってんのは俺なのに、なんかこっちが喰われてるみてえ」
希一の張り詰めた胸の筋肉の上に頬を押しつけていた世宇は、そこからむくりと顔をあげる。
「喰ってるのは、俺じゃん? お前の咥えてんだから」
あっさりとそう返されて。
希一は胸中で盛大に溜息を吐いた。
セックスの時、世宇がひどく扇情的にモノを言うことは、すでに十分に知らされている事実なのだが。
あまりに、身も蓋もない言い回しだ。
世宇の優等生然とした、ストイックな風貌から呟かれる単語として聴くには、どうもまだ慣れない。
希一が何も言わないまま目の前の世宇をジッと見つめていると、当人が不思議そうに訊いてくる。
「なに?」
「―――お前、ホンット、淫ら。その顔で、咥える、とか言うなよ」
「その顔って、どんな顔?」
希一の苦言も意に介さない様子で、世宇はベッドサイドに置いてあった煙草に手を伸ばして、1本口に銜えた。
「タバコやめろって言っただろ」
すかさず、希一が銜えたそれを摘む。
「あ、何するんだよ」
「駄目」
床にポイと投げ捨てられて、世宇は少々不貞腐れて、ごろりと希一の横に寝転んだ。
「蔵元さんはそんなこと言わないのに」
「世宇」
希一が強い口調で発し、世宇の方に半身を向けた。
「俺と居る時にクラモトの名前は出すなって言っただろ」
嫉妬を滲ませる希一を横目で見ていた世宇は、何気ない風で訊いてみた。
「そんなにイヤ? 俺が蔵元さんとつき合うの」
「当たり前だ。あんな危険人物」
世宇はクスっと笑った。
「蔵元さんが俺に手を出すワケないし」
「そんなの解からないだろ」
世宇はますます笑みを深めた。
「そんなコトあり得ないよ。それに、俺はお前よりあの人のこと知ってるよ」
「だから、イヤなんだよ」
希一が世宇に覆い被さり、その剥き出しの肩を押さえつける。
強い視線で見下ろすと、世宇はむしろその視線を喜んで受け止め、艶然と微笑んだ。
「蔵元さん、好きな人、いるよ」
「―――え」
「いるんだよ。勿論、俺じゃないよ」
「―――誰だよ」
「ナオミって人」
「女・・・?」
「男」
「―――会った事あるのか、お前」
「一度だけ」
その答えを聞いて、とりあえず満足したのか、希一は押さえつけていた世宇の肩から手を離し、元通り世宇の横に寝転んだ。
反対に、世宇はすかさず希一の上に乗り上げる。
そして、希一の顎の辺りにチュウと吸いつき、口を開いた。
「蔵元さん、悪い人じゃないよ」
だからイヤなのだ。
そうとは口に出さないまま、希一は別のことを言及した。
「お前、もし俺がいなかったら、クラモトのこと、好きになってただろ」
その言葉を聞いた途端、世宇の眦が吊り上がり、頬がみるみる上気した。
怒髪天。
今度は世宇が希一の肩をベッドに縫いつけた。
「俺はお前が存在しない世界なんて想像したことはない」
そう言って、半ば呆気に取られている希一に乱暴なキスをお見舞いすると、世宇はすぐに要求した。
「ムカついた。もう一回ヤれ」
「お前は、むかつくたびにセックスするのか、まったく・・・」
「お前がひどいこと言うからだ」
「悪かった」
「ゆるさない」
どうやら本気で怒っているらしい世宇のギラついた視線を受け止めながら、希一はそろりと手を伸ばして、さっきまで入り込んでいた狭い蕾を撫でた。
「あ・・・」
まだ十分潤っている。
「こんなに濡らして・・・」
「女、みたいに、言うなよ・・・あ、っ」
ゆっくりと指を埋没させると、すぐにキュと締めつけてくる。
その感覚を頭の中でペニスに置き換えてみると、すぐに勃起した。
「あ、あ、あ・・・」
奥を探っていくと、更に貪欲に後ろが蠢いた。
世宇の前もすでに起ちあがって、濡れている。
それを感じた希一が、少し呆れ気味に言った。
「お前、ちょっと欲求不満すぎじゃないのか」
「仕方、ないだろ。思い通りにならないことだらけで、ストレス、溜まってたん、だからっ」
「世の中に責任転嫁するなよ」
「あ、何? じゃ、お前は、そうしなかったって、断言できるのか・・・?」
「―――」
「だろ?」
世宇は快感に歪む顔を希一に近づけて、勝ち誇ったように笑った。
ほんとにコイツは―――。
まるで言い返せないことへの仕返しをするかのように、希一は世宇の中へゆっくりとペニスを侵入させた。
世宇が、あは・・・と喘いで、目の前でのけぞる。
希一は世宇の喉元に甘く噛みつくと、そこを外側から震わせた。
「お前って、セックスまで優等生だったんだ、なっ」
言葉尻に合わせて突き上げると、世宇が綺麗に啼く。
「はぁ・・・それは、こっちのセリフ・・・ッ」
「俺以外の誰とも経験してないなんて、信じられねえ、よっ」
「あ、っ、はぁぁっ・・・お前、こそ、っ・・・いったい、何人の女と、セックスっ、してきたんだよ・・・!」
「聞きたいの、かっ」
「こん、の、悪魔・・・っ」
「淫乱」
「サル・・・!」
底辺の応酬をくり返すうちに、希一の腰使いが本格化してくる。
「世宇、お前は、淫らだ・・・」
希一は世宇を押し倒して、自分の下に組み敷き、再度深く抉った。
「んはぁ、っ!」
世宇の息が整わないのも無視して、腰を大きくグラインドさせ、世宇を揺すり上げる。
歓喜の声をあげ、ぐずぐずに乱れ蕩けていく世宇を見下ろしながら、希一は延々と世宇を犯し続けた。

never ending day...

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